人の話をきいては一層驚かされます。新聞紙をコンクリートの上に敷いて寝るのでそのため夜遅くなると夕刊が五十銭に値上になるさうです。
美樹君も折角上京したのに宿が無くて帰京し気の毒なことです。
扨て私はこの月の二十一日に学校が終りますから一度そちらへ行つてみたいと思つてゐます。二十五日か六日に出発、途中倉敷と本郷へ立寄りますから広島へ着くのは卅日頃となるでせう。何分その折にはよろしく御願ひ致します。
寒さの折柄、御大切に。皆さんによろしく御伝へ下さい。
兄上様[#地から3字上げ]民喜
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
●昭和二十二年一月八日 大森区馬込末田方より 広島市幟町 原信嗣宛
[#ここで字下げ終わり]
先日はいろいろ御世話になりました。慌しい旅でしたが印象深いものでした。
帰りの汽車も大混乱でした。
美樹君に見送り有難う。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
●昭和二十二年二月七日 大森区馬込末田方より 広島市幟町 原すみ江宛
[#ここで字下げ終わり]
お手紙有難うございました。
寒はあけたのに、まだまだ寒いことですが、皆さんは御
前へ
次へ
全38ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
原 民喜 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング