チてゆきました。私はその乳房を見て、びっくりしました。
 大きさといゝ、形といゝ、色合いといゝ、とても気味の悪いものでした。なにしろ、六フィートも突き出ているので、まわりは十六フィートぐらいあるでしょう。乳首だって、私の頭の半分ぐらいあります。それに、乳房全体が、あざ[#「あざ」に傍点]やら、そばかす[#「そばかす」に傍点]やら、おでき[#「おでき」に傍点]やらで、しみ[#「しみ」に傍点]だらけなのです。見ていると、気持が悪くなるくらいでした。乳母は乳を飲ましいゝような姿勢で、赤ん坊を抱いていますが、私はテーブルの上にいるので、その乳房はすぐ目の前にはっきりと見えるのでした。
 それで私はふと、こんなことがわかりました。イギリスの女が美しく見えるのは、それは私たちと身体の大きさが同じだからなのでしょう。もし虫眼鏡でのぞいて見れば、どんな美しい顔にも凸凹やしみ[#「しみ」に傍点]が見えるにちがいありません。
 そういえば、リリパットに私がいた頃、あの小人たちの肌の色は、とても美しかったのを、私はよくおぼえています。リリパットの友達も、この私の顔が、小人の目から見ると、どんなに見えるか、教
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