トいないのでした。なんでも、計算の数字を間違えたのだそうです。しかし、そんな間違いはいつもあることで、誰も気にするものはないというので、私も少し安心しました。
私は病気で五六日引きこもっていましたが、その間に、だいぶこの国の言葉を勉強しました。それで、その次に宮廷へ行ったときには、国王の言うこともわかれば、いくらか返事をすることもできました。
陛下は、この島を、北東々に進ませて、ラガード(下の大地にある、この国の首都)の上に持ってゆくよう、お命じになりました。ラガードは約九十リーグほど離れていたので、この旅行には四日半かかりました。旅行中、この島が空中を進行しているような気配はちょっとも感じられないのでした。三日目の朝、十一時頃、国王は自ら貴族、廷臣、役人どもを従えられ、それ/″\楽器の調子をとゝのえると、それから三時間、休みなしに演奏されました。騒々しくて、私はもう耳がつんぼ[#「つんぼ」に傍点]になりそうでした。
首都ラガードへ行く途中、陛下は、ところ/″\の町や村の上に、この島をとめるよう、お命じになりました。これは、それ/″\、人民の訴えごとを、お聞きになるためでした。小
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