獄中の女より男に
原田皐月

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)斯《か》うして

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日|許《ばか》り

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)恁※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《こんな》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)暗い/\
−−

     一

 私には暗い/\日|許《ばか》り続いて居ます。もう幾日経つたのか忘れて了ひました。此処に斯《か》うして居ると堪らなく世の中が恋しくなります。貴方の傍が……貴方の傍が……貴方はあのテーブルの上でお仕事をして被入《いらつしや》るでせう? 一輪ざしの草花がもうぼろ/\に枯れたらうなんて昨夕も考へましたの。そして貴方は其ぼろ/\の花を矢張り捨てないで眺めて居て下さるんだと思つたりしてましたの。妙な事迄考へたんですよ。貴方がね、毎晩私のあのつぎだらけの寝巻を抱いて寝て被入るのだなんて。そ
次へ
全14ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
原田 皐月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング