クルまわして歩いた。
 どの窓にも灯のついている八重洲の通りは、紫や、紅のコートを着た、務めする女の人達が、やっぱり雪にさからって[#「さからって」に傍点]いる。
 コートも着ない私の袖は、ぐっしょり濡れてしまって、みじめなヒキ蛙。
 白木さんはお帰えりになった後か、そうれ見ろ!
 これだから、やっぱりカフェーで働くと云うのに、時ちゃんは勉強しろと云う。広い受付けに、このみじめ[#「みじめ」に傍点]な女は、かすれた文字をつらねて、困っておりますから[#「困っておりますから」に傍点]とおきまりの置手紙を書いた。
 だが時事のドアーは面白いな、クルリクルリ、水車、クルリと二度押すと、前へ逆もどり、郵便屋が笑っていた。
 何と小さき人間達よ、ビルデングを見上げると、お前なんか一人生きてたって、死んだって同じじゃないかと云う。
 だが、あのビルデングを売ったら、お米も間代も一生はらえて、古里に長い電報が打てるだろう。
 ナリキン[#「ナリキン」に傍点]になるなんて、云ってやったら、邪けんな親類も、冷たい友人も、驚くだろう。

 あさましや芙美子
 消えてしまえ。

 時ちゃんは、かじかんで[#
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