な本箱を買ってござる。
 いつものように弐拾円ばかりの金は、原稿用紙の下に入れると、誰もいないきやすさに、くつろいだ気持ちで、押入れの汚れものを見てみる。

「あのお手紙でございます。」
 女中が持って来た手紙を見ると、六銭切手をはった、かなり厚い女の封書。
 私は妙に爪を噛みながら、只ならぬ淋しさに、胸がときめいてしまった。私は自分を嘲笑しながら、押入れの隅に隠してあった、かなり厚い、女の手紙の束をみつけ出した。
 ――やっぱり温泉がいゝわね、とか。
 ――あなたの紗和子より、とか。
 ――あの夜泊ってからの私は、とか。
 私は歯の浮くような甘い手紙に震えながらつっ立ってしまった。

 二人の間はかなり進んでいるらしい。温泉行きの手紙では、私もお金を用意しますけど、貴女も少しつくって下さい、と書いてあるのを見ると、私はその手紙を部屋中にばらまいてやった。
 原稿用紙の下にしいた弐拾円の金を袂に入れると、涙をふりちぎって外に出た。

 あの男は、私に会うたびに、お前は薄情だとか、雑誌にかく、詩や小説は、あんなに私を叩きつけたものばかりじゃなかったか。
 豚!
 インバイ!
 あらゆるの
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