にぬれし顔を拭く
反共産を主義とせりけり

酒呑めば鬼のごとくに青かりし
大いなる顔よ
かなしき顔よ。
[#ここで字下げ終わり]

 あゝ若人よ! いゝじゃないか、いゝじゃないか、唄を知らない人達は、啄木を高唱してうどんをつゝき焼酎を呑んだ。

 その夜、萩原さんを皆と一緒におくって行った夫が帰えって来ると、蚊帳がないので、部屋を締め切って、蚊取り線香をつけて寝につくと、
「オーイ起ろ起ろ!」ドタドタと大勢の足音がして、麦ふみのように地ひゞきが頭にひゞく。
「寝たふりをするなよお……。」
「起きているんだろう。」
「起きないと火をつけるぞ!」
「オイ! 大根を抜いて来たんだよ、うまいよ起きないかい……。」
 飯田さんと萩原さんの声が入りまじって聞える。
 私は笑いながら沈黙っていた。

 七月×日
 朝、寝床の中ですばらしい新聞を読んだ。
 元野子爵夫人が、不良少年少女の救済をすると云うので、円満な写真が新聞に載っていた。
 あゝこんな人にでもすがってみたなら、何とか、どうにか、自分の行く道が開けはしないかしら……私も少しは不良じみているし、まだ廿二だもの、不良少女か、私は元気を出して
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