た冷たさがあった。話はいかにも親しそうにしていて、瞳は遠くの方を見ている。
そのはるかな[#「はるかな」に傍点]ものを見ている彼女の瞳には空もなければ山も海も、まして人生の旅愁なんて、支那人形の瞳のような、冷々と底知れない野心が光っていた。
「えゝ今日からお手助してもようございますわ。」
昼
黒いボアに頬を埋めて女主人出て行く。
少女が台所で玉葱をジタジタ油でいためている。
「一寸! 厭になっちゃうね、又玉葱にしょっぺ汁かい?」
「だって、これしか当がって行かねえんだもの……。」
「へん! まるで犬ころとまちがえてやがるよ。」
ジロジロ睨みあっている瞳を冷笑にかえると、彼女達は煙草をくゆらしながら、
「助手さん! 寒いから汚ないでしょうけど、こゝへ来て当りませんか!」
何か底知れない気うつさを感じながら、襖をあけると、雑然として前の玄関に、女が六人位もさしあって居た。
こんなにどこから来たのかしら――
「助手さん! 貴方お国どこ?」
「東京ですの。」
「テヘッ! そうでございますの、一寸これゃごまめだよ。」
女達は、ワッハワッハ笑いながら、何か話しあっていた。
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