づけを腹いっぱい食いたい事にお伽話のような空想を抱いていると誰が思うだろうか!
順子さんは、よせ[#「よせ」に傍点]も退屈したと云う、三人は雨のそぼ降る肴町の裏通りを歩いた。
「ね、先生! 私こんどの××の小説の題なんてつけましょう、考えてみて頂戴な、流れるまゝには少しチンプだったから……。」
順子さんの薄い扇が、コウモリのように見えた。
団子坂のエビスで紅茶を呑むと、順子さんは、寒いから、何か寄せ鍋でもつゝきたいと云う。
「どこが美味《うま》いか知ってらっしゃる?」
秋声氏は子供のように目をしばしばさせて、「そうね……。」私はお二人に別れようと思った。
二人に別れて、小糠雨を十ちゃんの羽織に浴びながら、団子坂の文房具屋で、原稿用紙を一帖買ってかえる。――八銭也――
ワァッ! と体中の汚れた息を吐き出しながら、まるで尾を振る犬みたいな女だと私は私を大声あげて嘲笑ってやった。
帰えったら、部屋の火鉢に、パチパチ切り炭が弾けていて、カレーの匂いがぐつぐつ泡をふいていた。
見知らない赤いメリンスの風呂敷が部屋の隅に転がって、新らしい蛇の目の傘がしっとり濡れたまゝ縁側に立てか
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