い服装で、涼し気だった。
 下の妻君に五円借りる。
 尾道まで七円くらい、やっと財布をはたいて切符を買うと、座席を取ってまず指を折った。
 ――何度目の帰郷だろうか!

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露草《つゆくさ》の茎
粗壁《かべ》に乱れる
万里の城
[#ここで字下げ終わり]
 何かうらぶれた感じが深い。昔つくった自分の詩のアタマ[#「アタマ」に傍点]を思い出した。

 何もかも厭になってしまうが、さりとて、ニヒルの世界は道いまだ遠し。
 此生ぐさニヒリストは、腹がなおる[#「なおる」に傍点]と、じき腹がへる[#「へる」に傍点]し、いゝ風景を見ると、呆然としてしまうし、良い人間に出くわすと、涙を感じるし――。
 バスケットから、新青年の古いのを出して読む。
 面白き笑話ひとつあり――。
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――囚人曰く、「あの壁のはりつけ[#「はりつけ」に傍点]の男は誰ですか?」
――宣教師答えて、「我等の父キリストなり。」
囚人が出獄して病院の小使いにやとわれると、壁に立派な写真が掛けてある。
――囚人、「あれは誰のです?」
――医師、「イエスの父なり。」
囚人、淫売婦を買って彼女の
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