、生活線が切れるんじゃないかと思ったが、兎に角私は街に出た。
訪問先きは秋田雨雀氏のところ――。
此頃の御感想は……私は此言葉を胸にくりかえしながら、雑司ヶ谷の墓地を抜けて、鬼子母神のそばで番地をさがす。
本郷の混々《ごみごみ》した所から此辺に来ると、何故か落ちついた気がする。二三年前の五月頃、漱石の墓にお参りした事もあったが……。
秋田氏は風邪を引いていると云って鼻をかみかみ出ていらっした。
まるで少年のようにキラキラした瞳、非常にエキゾチックな感じの人だ。お嬢さんは千代子さんとか云って、初めて行った私を拾年のお友達かのように話して下すった。
厚いアルバムが出ると、一枚一枚繰って説明をして下さる。此役者は誰、此女優は誰、その中には別れた男のプロフィルもあった。
「女優ってどんなのが好きですか、日本では……。」
「私判らないけど、夏川静江なんか好きだわ。」
私はいまだかつて、私をこんなに優さしく遇してくれた女の人を知らない。
二階の秋田さんの部屋には黒い牛の置物があった。高村さんの作で、有島さんが持っていらっしたとか、部屋は実に雑然と、古本屋の観があった。
談話取
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