りて来る灰をはらった。
私は四畳半の蚊帳をたゝむと、崩れかけた下宿へ走った。宿の人達は、ゴソゴソ荷物を片づけていた。
「林さん大丈夫ですか、一人で……。」
皆が心配してくれるのを振りきって、私は木綿の風呂敷を一枚持って、モウモウとした道へ出た。
根津の電車通りは、みゝず[#「みゝず」に傍点]のようにかぼそく野宿の群がつらなっていた。
青年は真黒に群れた人波をわけて、くるくる黒い洋傘をまわして歩いている。
私は下宿に、昨夜間代を払わなかった事を何か奇蹟のように思えた。お天陽様相手に行動をしている、お父さん達の事を思うと、此三拾円ばかりの月給も、おろそかにつかえない。
途中壱升壱円の米を二升買う。
外に朝日五ツ。
干しうどん[#「うどん」に傍点]のくず[#「くず」に傍点]五拾銭買う。
お母さん達が、どんなに喜こんでくれるだろう。じりじりした暑さの中に、日傘のない私は、長い青年の影をふんで歩いた。
「よくもこんなに焼けたもんだ!」
私は二升の米を肩を替えながら脊負って歩くので、はつか[#「はつか」に傍点]鼠くさい体臭がムンムンして厭だった。
「すいとん[#「すいとん」
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