て、見知らない紺がすりの青年が、火のない火鉢に、しょんぼり手をかざしていた。
 恋人かな……私は妙に白々とした空間をみやっていた。寒い。歯がガチガチふるえる。
「たい子さん帰えられなければ寝られないの?」
 時ちゃんは、私の肩にもたれて、心細げに聞く。
「寝たっていゝのよ、当分こゝにいられるんだもの、蒲団出してあげるよ。」
 押入れをあけると、プンと淋しい一人ぐらしの匂いをかいだ。たい子さんだって淋しいんだ……大きなアクビにごまかして、袖で瞳をふくと、うすいたなの下に時ちゃんをねせつけた。
「貴女は林さんでしょう……。」
 その青年はキラリと眼鏡を光らせて私を見た。
「僕山本虎造です。」
「あゝそうですか、たいさんに始終聞いてました。」
 なあんだ、しびれの切れた足を急に投げだすと、寒いですねと云う話からほぐれて来た。
 色々話していると、段々この青年のいゝ所がめにたって来る。
 ――私は一生懸命あいつを愛しているんですが……。
 山本さんは涙ぐむと、火鉢の灰をかきならしていた。
 たい子さんは幸福だなあ……私は別れて間もない男の事を思った、あんなに私をなぐっていたあの男に、この山本さ
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