の光が、こうこうとあたりをてらしていますので、足の悪い鶴は、また笛を吹きました。
 三羽の子供の鶴はお月様へむかって、歌をうたいたくなりました。
「きれいなきれいなお月さまア。」
 小さい鶴が歌いました。すると中の兄さんの鶴が、「生れた村がいちばんいい。」と歌いました。上の兄さんは、「きもちのいい夜だね。何を考えてもたのしいね。」と歌いました。
 子供鶴のお母さんはのんびりとして、
「ほんとに、わたしたちはしあわせになったのね。お前たちががつがつしなくなっただけでもかえって来てよかった。乙さんも甲さんもみんなかえって来てくれるとにぎやかになっていいのにね。」
 と申しました。
 鶴のお父さんは、一ぷくたばこを吸いながら、足の悪い鶴の笛の音にききとれて[#「ききとれて」はママ]いました。笛の音色はピヨロピヨロと涼し気な音色をたてています。
「あら、何だか、にぎやかな羽音がしますよ、誰かかえって来たのでしょうか。」
 やがて、金色の空から、一羽二羽、三羽四羽、村をすてていった鶴たちが笛の音色にさそわれてもどって来ました。
「誰もいばらないで、みんなでわけあって食べあう気持ならばかえっていら
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