分だけ手足をのばして目をとじた。たいさんも宿が出来たかしら……目頭に熱い涙が湧《わ》いてくる。
「庄野さん! 明日起きたら、御飯を食べさせて下さいね、それからお金もかしてね、働いて返しますから……」
 私は朝まで眠ってはならないと思った。男のコウフン状態なんて、政治家と同じようなものだ、駄目だと思ったらケロリとしている。明日になったら、又どっかへ行くみちをみつけなくてはいけないと思う。

(十二月×日)
 ゆかいな朝である。一人の男に打ち勝って、私は意気ようようと酒屋の二階へ帰ってきた。たいさんも帰っていた。畳の上では何か焼いた跡らしく、点々と畳が焦げていて、たいさんの茶色のマントが、見るもむざんに破られていた。
「庄野さんとこへ昨夜泊ったのよ。」
 たいさんはニヤリと笑っていた。いやな笑いかたである。思うように思うがいいだろう。私はもう捨てばちであった。たいさんはいいひとが出来たと云った。そして結婚をするかも知れないと云っている。うらやましくて仕様がない。今は只沈黙っていたいと云っていた。淋しかったが、たいさんの顔は何か輝いていて幸福そうだ。みじめな者は私一人じゃないか。私はくず折れ
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