は飯田を愛しています。」
たい子さんはキッパリ云い切ると、飯田さんをジロリと見上げていた。私はたいさんが何故《なぜ》か憎らしかった。こんなにブジョクされてまでもあんなひとがいいのかしら……山本さんは溝《どぶ》へ落ちた鼠のようにしょんぼりすると、蒲団は僕のものだから持ってかえると云い出した。すべてが渦のようである。――やがて何時の間にか、たい子さんはいち早く山田清三郎氏のところへ逃げて行った。私はブツブツ云いながら三人の男たちと外に出た。カフエーにはいって、酒を呑む程に酔がまわる程に、四人はますますくだらなく落ちこんで来る。庄野さんは私に下宿に泊れと云った。蒲団のない寒さを思うと、私は何時の間にか庄野さんと自動車に乗っていた。舌たらずのギコウにまけてなるものか。私は酒に酔ったまねは大変上手です。二人はフトンの上に、二等分に帯をひっぱって寝た。
「山本君だって飯田君だってたいさんだって、あとで聞いたら関係があると云うかも知れないね。」
「云ったっていいでしょう。貴方も公明正大なら、私も公明正大ね、一夜の宿をしてくれてもいいでしょう。蒲団がなけりゃ仕様がないもの。」
私は、私に許された領
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