っぷして眠んなさい、酔っぱらって仕様がないじゃないの……」
 私の蒲団は新聞で沢山なのですよ、私は蛆虫《うじむし》のような女ですからね、酔いだってさめてしまえばもとのもくあみ、一日がずるずると手から抜けて行くのですもの、早く私のカクメイでもおこさなくちゃなりません。

(六月×日)
 太宗寺で、女給達の健康診断がある日だ。雨の中を、お由さんと時ちゃんと三人で行った。古風な寺の廊下に、紅紫とりどりの疲れた女達が、背景と二重写しみたいに、そぐわないモダンさで群れている。一寸《ちょっと》した屏風《びょうぶ》がたててあるのだけれども、おえんま様も映画の赤い旗もみんなまる見えだ。上半身を晒《さら》して、店《たな》ざらしのお役人の前に、私達は口をあけたり胸を押されたりしている。匂いまで女給になりきってしまった私は、いまさら自分を振りかえって見返してみようにもみんな遠くに飛んでしまっている。お由さんは肺が悪いので、診てもらうのを厭がっていた。時ちゃんを待ちながら、寺の庭を見ているとねむの花が桃色に咲いて、旅の田舎の思い出がふっと浮んできた。
 夜、鼠花火を買って来て燃やす。
 チップ一円二十銭也。

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