みた。何度目の帰郷だろうと思う。

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露草の茎
粗壁《かべ》に乱れる
万里の城
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 いまは何かしらうらぶれた感じが深い。昔つくった自分の詩の一章を思い出した。何もかも厭になってしまうけれど、さりとて、自分の世界は道いまだ遠しなのだ。この生ぐさきニヒリストは腹がなおると、じき腹がへるし、いい風景を見ると呆然としてしまうし、良い人間に出くわすと涙を感じるし、困った奴なり。バスケットから、新青年の古いのを出して読んだ。面白き笑話ひとつあり――。
 ―囚人|曰《いわ》く、「あの壁のはりつけの男は誰ですか?」
 ―宣教師答えて、「我等の父キリストなり。」
 囚人が出獄して病院の小使いにやとわれると、壁に立派な写真が掛けてある。
 ―囚人、「あれは誰のです?」
 ―医師、「イエスの父なり。」
 囚人、淫売婦を買って彼女の部屋に、立派な女の写真を見て――
 ―囚人、「あの女は誰だね。」
 ―淫売婦、「あれはマリヤさ、イエスの母さんよ。」
 そこで囚人|歎《たん》じて曰く、子供は監獄に父親は病院に、お母さんは淫売帰にああ――。私はクツクツ笑い出してしまっ
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