。だが、何年と見きわめもつかない生活を東京で続けていたら、私自身の姿もあんな風になるかも知れないと思う。街の菜の花よ、清純な気持ちで、まっすぐに生きたいものだと思う。何とかどうにか、目標を定めたいものだ。今見て来た女達の、実もフタもないザラザラした人情を感じると、私を捨てて去って行った島の男が呪《のろ》わしくさえ思えて、寒い三月の暮れた街に、呆然と私はたちすくんでいる。玉葱としょっぺ汁。共同たんつぼのような悪臭、いったいあの女達は誰を呪って暮らしているのかしら……。
(三月×日)
朝、島の男より為替を送って来た。母のハガキ一通あり。――当にならない僕なんか当にしないで、いい縁があったら結婚をして下さい。僕の生活は当分親のすねかじりなのだ。自分で自分がわからない。君の事を思うとたまらなくなるが、二人の間は一生絶望状態だろう――。男の親達が、他国者の娘なんか許さないと言ったことを思い出すと、私は子供のように泣けて来た。さあ、この十円の為替を松田さんに返しましょう、そしてせいせいしてしまいたいものだ。
オトウサンガ、キュウシュウヘ、ユクノデ、ワタシハ、オマエノトコロヘ、ユクカモシレマ
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