も生れかわって来ましょう。昼から、千代田橋ぎわの株屋へ行ってみる。
  ――[#ここから横組み]1 2 3 4 5 6 7 8 9 10[#ここで横組み終わり]――
 これだけの数字を何遍も書かせられると、私は大勢の応募者達と戸外へ出ていった。女事務員入用とあったけれど、又、簿記をつけさせるのかしら、でも、沢山の応募者達を見ると、当分私は風の子供だ。
 明石《あかし》の女もメリンスの女も、一歩外に出ると、睨《にら》みあいを捨ててしまっている。
「どちらへお帰りですの?」
 私はこの魚群のような女達に別れて、銀座まで歩いてみた。銀座を歩いていると、なぜか質屋へ行くことを考えている。とある陳列箱の中の小さな水族館では、茎のような細い鮎《あゆ》が、何尾も泳いでいた。銀座の鋪道《ほどう》が河になったら面白いだろうと思う。銀座の家並が山になったらいいな、そしてその山の上に雪が光っていたらどんなにいいだろう……。赤|煉瓦《れんが》の鋪道の片隅に、二銭のコマを売っている汚れたお爺さんがいた。人間って、こんな姿をしてまでも生きていなくてはならないのかしら、宿命とか運命なんて、あれは狐つきの云う事でしょ
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