は妙な事をいうと思ってぼんやりしていますと、こおンと固い音をたてて狐は額をいやというほどなぐられてしまいました。思わず尻餅をついているところを、狐はとうとう人間につかまってしまって、木箱の中へいれられてしまいました。
その晩、人間たちはこんなことを話しあっていました。
「六兵衞狐というのはひどい奴で、五作さんの家からかえる時、おれはおこわめしをみやげにもらっていたンだが、祖谷《いや》を下る途中、とうとう六兵衞に化かされて、おこわめしをぬすまれて、ひでえめにあったよ。」
「おれも、この六兵衞には痛いめにおうたぞ、妙正寺の番僧に化けて、おれから財布をとりあげて、あげくのはてに、河の中へつつきおとされてしまったものな……。」
六兵衞狐は、箱の中で、こんな話をきいていてびっくりしました。人間というものは何という嘘つきなのだろうと思いました。
六兵衞狐は、いままでにまだ一度も里へ降りたことはなかったし、第一、人間のようなかしこい動物を、化したりなぞしたことは一度もなかったのです。
人間はおかしなことをいうものだと思いました。晝間、頭をなぐられたところに、大きなこぶが出來て、それが痛くて仕
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