ブは、月に一回、会員の家にあつまって、いろんな話をしたり、歌やどうようをつくったりすることにしました。はじめは金井君のおうちであつまることにしました。たった三人の会員で淋しいので、おいおい、人をふやして行こうとやくそくしました。
ラビットクラブは、ただお話だけをするのではなく、いいこともしなければ、いみがないとおとうさんはいいます。
「でもね、いいことをするということにこだわって、つくりごとをしてはいけないよ。いいかい。しぜんなしかたで、いいことをたのしくするという、気持だと、長くつづくものだよ」
と、おとうさんがおっしゃいました。
金曜日の夜。
僕たちは、金井君のうちにあつまりました。沢井君、野田君が、あたらしくおなかまにはいりました。
「僕ね、この間、宇都宮へ行くんで、おかあさんと上野駅へ行ったんだよ。そしたら、僕ぐらいの子どもが、新聞を買ってくれって来たんで、おかあさんが、気の毒だって新聞を買ったの。そうしたら、そこへ、とてもやせこけた男の人が来て、たばこのすいがらをひろったんだよ。するとね、その子どもは、とても怒った顔して、ここは俺の縄張りだよって、どなってるの。僕、何
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