のをつくります。
[#ここから2字下げ]
もうじき秋が来る
空がそういつた
もうじき秋が来る
山の木がそういつた。
小雨が走っていいに来た
郵便屋さんがラシャ帽子をかぶった
夜がいいに来た
もうじき秋ですよ
[#ここで字下げ終わり]
これは金井君のどうよう。及川先生が読んで下さった。金井君は畑が好きだけに、とてものんびりしていて、時時妙なことを書いては及川先生に見せています。
[#ここから2字下げ]
天井から豆がおちて来た
ねずみのイントクブッシかな
西どなりで水の音がする
[#ここで字下げ終わり]
これも金井君のうたったもの。僕はこんなのはつくれない。
「君、いまはね、天火のかまをつくってるんだよ。うまくパンが焼けそうなんだよ」
「何でもよく製造するんだなあ。金井製造会社だなあ」
僕がからかうと、金井君は、
「ああなんでもかたっぱしからつくるのさ、つくってる時、一番面白いよ。そのうち時計をつくろうかと思ってるんだぜ」
「へえ、時計、むずかしくないの」
「古くてどうにもならない時計があるからそれでぽつぽつ時計をつくろうと考えているのさ‥‥いいものつくってみせに来る
前へ
次へ
全79ページ中66ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
林 芙美子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング