もわかりにくいところだったが、おばあさんという人がいて、よろこんでいたよ。竹の子を持って行ってくれって、これをよこしたのだよ」
小さい竹の子が三本、やぶけた新聞紙からのぞいています。あの子のおばあさんは、とてもあの子のことを心配していたのだそうです。おばあさんというのは、あの子のおかあさんの一番上のねえさんでほんとうはおばさんなのだそうです。おばさんのお家も大変まずしいお家だそうですけれど、みんないい人たちばかりだから、あの子はきっとしあわせになるだろうとおとうさんが話しました。茶の間で、おとうさんだけ、おそい夕ごはんをたべています。
菜っぱは、おとうさんのおしりあいでもらったのだそうです。おとうさんはいろいろな種ももらって来ていました。さやいんげんの種もありました。いままけば秋にはたべられるのだそうです。
あの子は、僕たちに会わなかったら、まだ歩いているころだったでしょう。おとうさんが連れて行って下さってうれしいと思いました。
桶屋さんの人たちも、あの子をとてもかわいがっていたのだそうです。
「人がらがいいのだよ。だから神さまはすててはおかないのだね。あの子のうまれつきがいい
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