、おじさんたちもとうとう東京にがんばってしまいました。おじさんのお家は麻布の区役所のそばだったので、焼けていまはバラックに住んでいます。
 僕と静子はおべんとうをしてもらって、小さいリュックに入れて行くことになりました。おべんとうはおにぎり一つ、それから、むしパン一つ、それから、小さいおみかん一つ、僕は麻布へ行くまでにおにぎりやむしパンがつぶれないといいと思いました。
 日曜なので、電車は満員です。目白の駅で金井君に会いました。金井君は、おねえさんと千葉へおいもを買いに行くのだといっていました。金井君のおとうさんはマニラで戦死をされたのです。金井君は、とてもいいひとです。人のいやがることを何でもします。お家がまずしいので上の学校には行かないのだそうですけれど、とても頭がよくて、先生も、大変ほめていらっしゃいました。英語の会話なんかとてもうまくなっていて、もうれつに勉強します。大きくなったら天文学者になりたいといっていました。
 僕たちの組のものも、もう昔のように、大将になりたいなんて誰もいわなくなりました。僕だってほんとうは飛行家になりたいと思っていましたけれど、僕はもうあきらめてしま
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