ていの出入りが、二人を頼んだ方が勝ちときまっていたもので――さてこそ、商売として立派に立っていくわけ。
こういう喧嘩渡世。
観化流の剣豪《けんごう》茨右近も、見たところは、神尾喬之助と同じ背恰好《せかっこう》の、ほっそりした優《やさ》おとこである。それが、意気な姐御《あねご》の知らずのお絃と、こうして町家《まちや》ずまいをしているのだから、帯屋小路の家へ来ていると、紅のついたる火吹き竹……新世帯めかして、水入らずである。
長火鉢のむこうに、芸者屋に生獲《いけど》りになった兄さんのように、荒い丹前《たんぜん》か何か引っかけて、女みたいな顔でやに[#「やに」に傍点]下っているのが、これぞ、江戸に聞えた喧嘩の専門家、観化流|皆伝《かいでん》の達剣《たっけん》、茨右近だ。
が、そうは見えない。芝居が休みで、女形《おやま》が自宅《うち》にいるようだ。海苔《のり》か何か焙《あぶ》りながら、一本つけている。
「なあ、お絃、久しく暴風《しけ》つづきだな。きょうあたり、大きな喧嘩《やつ》を持ちこんで来そうな気がするのだが――おれはナ、どこぞに喧嘩のある時は、すぐわかるんだ。腕がピクピクしやあがっ
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