き》つい御|詮議《せんぎ》の憂目《うきめ》を見ていなさるのを、あんたは、まさか御存じねえわけではありますめえ――悪いことは言わねえ。何にも言わずに、このおやじの顔を立てて下せえ。そりゃアお手当てになりゃア、切腹か打ち首か、あんたのお命《いのち》は無えものだが、あっしも、黒門町と言われる男だ。しが[#「しが」に傍点]ねえ渡世《とせい》こそしているが、あんたのお繩を最後に、立派に十手を返上して――頭を丸めやす。へえ、坊主になって、一生あなた様の後生《ごしょう》をおとむらい申しやす。どうか、どうか――神尾さま、観念して、このおやじに縛らせて下せえまし――」
うウむ!――と、鉄より強い情《じょう》の金《かな》しばりだ。神尾喬之助の唸《うな》り声を耳にすると、台所の片|隅《すみ》にうずくまって、さっきからこの問答を聞いていたお妙が、このとき、わッ! と哭《な》き伏《ふ》したのだった。
六
「やかましいぞ。お妙《たえ》! 汝《われ》ア何も、泣くこたアねえじゃねえか」
と、はじめて娘の存在に気がついて、そっちを振り向いた壁辰は、こうお妙を叱《しか》りつけながら、そのくせ自分も、は
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