なっている。

      六

 十番首を自邸で上げられて以来、源助町は躍起《やっき》にならざるを得なかった。剣士達は毎日毎夜、隊を組んで喬之助を捜《さが》し歩いている。十人まで首にされて愈々|恐慌《きょうこう》を来《きた》した残りの番士たちは、この上は源助町に頼《たよ》って身を守るよりほか仕方がない。自然、源助町の道場は「喬之助討取事務所」の観をていして、何日にも亘《わた》って大掛りな会議が行われている。会議と言っても、いつもそう固く控えてばかりいられないし、それに、御大造酒先生をはじめ飲《い》ける連中が揃っているので、早くいえば酒宴である。その酒宴の最中に、一夜、庭さきの暗がりから一本の矢文《やぶみ》が飛来して……矢文、矢のさきに手紙が挾《はさ》んである。開いてみると「明夜、残余の首頂戴に参堂、御用意あれ」――何とも不気味な、人を食った文言《もんごん》である。
 次ぎの夜。すっかり支度を調え、一同刀を撫して待っているところへ、堂々と斬りこんで来た二人喬之助と魚心堂にお絃、それに喬之助弟琴二郎。喧嘩屋の見せ場である。喬之助と右近の影武者同士は例によって神出鬼没《しんしゅつきぼつ》を
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