、ぱッと燃え上っちまえ!」
人にまぎれて、そのワイワイいうさわぎを分けて喬之助と右近は、本郷を出はずれた。
一すじ、頭上に、天《あま》の河が白かった。
六
本郷へ斬込みに行った茨右近と喬之助の帰りが晩《おそ》い。知らずのお絃は、気になってたまらなかった。
「どうしたんだろうねえ。あたしもこれから、一ッ走り行ってみようかしら」
こう……神田帯屋小路、油障子に筆太に書かれた喧嘩渡世の四字、茨右近の喧嘩屋である。
ふかしていた長煙管《ながぎせる》をガラリ抛《ほう》り出して、お絃がブラリと起ち上った時、
「御めん下さいまし……」
あわただしく表の戸があいて、転がるように跳び込んで来た若い女――息をはずませて、ピシャリ! はいって来た戸を締め切りながら、お妙は、お絃を見上げた。
「ちょっとの間、おかくまい下さいまし。お願いでございます。悪ものに追われまして――」
「何だい、お前さんは」
お絃は、思わず怖ろしい顔になっていた。
「この頃よく家ん前を迂路《うろ》ついてる女《ひと》じゃないか。どうしたっていうのさ……」
「はい――」
「はいではわからないじゃないの。悪もの
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