、まことに勤勉《きんべん》者でござって」山城守は、言い出した以上、早く終いまで言ってしまおうと、この秋涼《しゅうりょう》に、額部《ひたい》に汗までにじませながら、「この者にお油御用をお命じつけなされたほうがよろしかろうと、拙者|愚考《ぐこう》いたし、係の者まで、それとなく申し入れましたところ、上役《うわやく》のお言葉さえあればとのこと、元より拙者、役目違いの儀は重々存じおりますなれど……」
 淡路守は、ますます苦笑の皺《しわ》を深めて、
「さては、お頼《たの》まれなされた――」
 山城守、これにはグッ! と来たらしく、人間、ほんとのことを言われると腹の立つもので、
「ココ、これは異なことを!」
 淡路守のほうへ膝を捻《ね》じ向けると、相手の淡路は、端然と袴の膝へ手を置いて涼しい顔だ。
「頼まれた――と申したが、お気にさわりましたかナ。頼まれもせで、油御用が何家へ行こうと、何屋に下命されようと、左様な小事、何もかく御老役列座《ごろうやくれつざ》の席へ持ち出されいでも……」
「小事? なるほど、高がお油のことと申せばそれまでじゃが、かりにもお城の御用を、小事とは何事――イヤサ、小事とは何《
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