などが駈け寄って、
「おう、よい所へ来た、吾《わ》れわれは、芝の道場の者だが、あそこに喬之助がおる。元番士の神尾喬之助――いま発見《みつ》けてそのほうらのため召し捕ってやろうとしておったところだが、ちょうど、われわれも手を貸すから早く掛るがよい」
 早速|訴人《そにん》と出掛けると、聞えない振りをした金山寺屋、大声に喚《わめ》いたのだった。
「ただ今、南町奉行大岡越前守様が、朝のお馬馴《うまな》らしに、当馬場へ御試乗《ごしじょう》にならせられます。さあ、引いたり引いたり! 喧嘩は両成敗《りょうせいばい》! お奉行様のお眼にとまらぬうちに、どっちも引き上げ! 引き上げ! わっし共は、そのお固めに参ったものでごぜえます」
 機転だ。出たらめだ。肝腎《かんじん》の大岡様は、朝がお早い。この時はもうとっくに床を離れて、外桜田のお屋敷で、こんな騒ぎは少しも御存じなく、きちんと坐られて余念なく朝の御書見をしていたが、大岡様! という名を聞いては、天童利根太郎も鏡丹波も、どっちかというと煙たいほうだ。サッと潮が退くように引き上げたので、喬之助の三人組も、急いでその場を立ち去る。帰りがけに、遠くで、喬
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