、遊佐剛七郎、鏡丹波の三剣士が夜番に頼まれて来ていたのだが、そのうち、三人では扱い切れぬと見た鏡丹波が飛び出して、芝の道場へ三羽烏の一人を迎いに走るのを認めたのが、右近の影のようにかれについて瘤寺裏へ行っていて、庭木の間に潜《ひそ》んで様子を見ていた知らずのお絃である。後をそのままに、丹波を追って急いだのだったが、中途から闇路を転じて、神田の自宅へ立ち帰り右近とお絃はどこへ行ったのだろうと考えながら独りつくねんとしていた神尾喬之助にその旨を語る。そして、喬之助が四谷をさして宙を飛ぶと同時に、お絃は、かねて右近と盟約《めいやく》を結んだ釣魚狂いの魚心堂先生をも頼《たの》み込み、二人その足で喬之助の後を追って四谷へ……。
ちょうどこの頃、万策尽きた西丸御書院番頭脇坂山城守が、源助町に神保造酒を訪ねて、喬之助事件に関し助力を乞い、神保先生はまた、喬之助妻園絵と交換にそれを承諾《しょうだく》していたが、これを立ち聞きしたのが、造酒の妻とも妾ともつかない芸妓上《げいしゃあが》りの市松お六で、思わず柳眉《りゅうび》を逆立《さかだ》てているところへ、鏡丹波が三羽烏の助剣を求めて帰って来たので、その
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