も武士の家にいるのだから、髪なんかもちゃんと取り上げて、それらしく割りに堅気な、しかし飽くまで艶《えん》な拵《こしら》え。
 いま、園絵を褒美にやろう、貰おうの約束が出来たのを聞くと、嫉妬であろう、耳をそばだてていたお六の顔に、歪《ゆが》んだ笑いがうかんで、何ごとか心に、ひとりうなずいている様子。
 と、その時、道場のほうから廊下を曲って、大勢のあし音が近づいてくるから、そんなところに立っているのを見つけられては面白くない。お六は、急ぎ反対側の角《すみ》へ隠《かく》れソッと覗いていると、鏡丹波を先頭に、多くの門弟が廊下を来て、部屋のまえに立ちどまった。
「先生ッ!」中から障子があいて、ノソリと造酒。
「何だッ! 騒々しい」
 一同はベタベタと板廊下にすわって、鏡丹波が、言った。
「出ました先生、今夜は、四谷こぶ寺うらの横地半九郎殿方へ遊佐と春藤と私と三人、夜番に頼まれて行っていましたところが、ただいま、神尾喬之助が現われまして、イヤどうも大変なチャンバラ……」チャンバラなどとは言わないが、そんなようなことをいう。聞いていた山城守は、ギックリしながらも、
「サ! いよいよ其許《そのもと》
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