して、即ち、ビクッ! と怯《おび》えた。
「ぷッ! うウ、それでは、何とあっても承引《しょういん》出来ぬ。この山城に恥をかかすと言わるるのかッ?」
「いや、一|徹《てつ》に[#「一|徹《てつ》に」は底本では「一|撤《てつ》に」]そうでもないが……」
「神保ッ! 賞与《しょうよ》を取らすぞ」
「ふム、その賞与というのは何だ、念のため、聞いて置こう」
「その賞与か。何でもやる、イヤサ、何でも取らせる」
「そうか。何でもくれるか」ドサリと片手を突いて山城守を見上げた神保造酒、ニッコリ笑うと、ギョロリ眼が光るのだ。「コリャ面白い。註文があるぞ」
「註文? よし。言え」
「女をひとり貰いたいのだ」

      六

「なに? 女……?」
「うむ。その喬之助の女房で園絵とかいう大分評判だが、それを一つ、お主《ぬし》の力でこっちへ渡して貰いたい」
「園絵――か」と暫らく考えていた山城守。
「黙っているところを見ると、不承《ふしょう》だナ」造酒に促されて、
「いやいや、不承のことはない。が、その園絵さえつかわせば、必ず――」
「言うにや及ぶ。喬之助ごとき……コレだ」神保造酒が、小指で畳を打って大笑す
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