夜、コッソリ屋敷を脱《ぬ》けて依頼に来た以上、ここは何とあってもこっちの味方に引き入れねば、と、山城守、平素の剛愎《ごうふく》はどこへやら、ほとんど泣かんばかりのおろおろ声だ。
「そんな事を言わずに、お身を見込んで、山城みずからかく頼みに参ったのじゃ。聞くところによれば、番士どもの依頼によって、当道場から徹宵護衛《てっしょうごえい》の士が出ておると申すこと。その御親切を一歩進めて、こちらの手で喬之助めを討ちとって頂きたいと、山城、ササササマッこの通り、懇願仕る」
造酒は、愉快でたまらない。もう少し骨を折らせたあげく、それではというんで渋しぶ引きうけよう。そう思っているから、表面はどこまでも迷惑《めいわく》そうだ。
「何を申すにも、この泰平の世でござる。拙者の輩下《はいか》から乱暴者が飛び出して」面白そうに胡坐《あぐら》の膝をゆすぶりながら、「お膝下を騒がすようなことがあっては、――頼んだほうも頼まれた方も――」
と、ここで造酒、やにわに顔を突き出して、ポンと首すじを叩いた。
「お互にこれでござるテ。あははははは」
首! という言葉に敏感になっている脇坂山城守、首を逆《さか》さまに
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