で、年の頃は五十あまり、眉と眉の間に、一線、刻んだような深い傷のあるのが、たださえあんまり柔和《にゅうわ》でない先生の顔を、ことごとく険悪《けんあく》に見せている。
「しかし、」と造酒は語をつないで、「探し出すのは、わしらが役目ではないでの。それには、八丁堀もあれば、お手前の手もとにも、人数が揃っておろうと思う。で、どこそこにその喬之助がおると確かにわかれば、当方から出向いて首にする……それは、まア、その時の相談じゃが――」
客の、御書院番頭脇坂山城守が、せき込んで、何か言おうとしたとき百余の門弟が寝泊《ねとま》りしている道場の方に当って、急にガヤガヤと人声が沸《わ》いた。
五
頼みに来たのだ。
八丁堀たのむに足らず、家臣を督励《とくれい》しても捗《はか》ばかしくない。このうえは、剣門《けんもん》に縋《すが》って、喬之助を見つけ次第、叩ッ斬って首にして貰い、それを証拠に、改めて許しを乞うて自家の安泰を計ろうという、山城守の肚《はら》だ。
夜陰、ひとりひそかにこの源助町の道場を叩いて、西丸《にしまる》お控《ひか》え役《やく》の司《つかさ》、今で言えば文書課長に当る
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