け》に取られている六人へ、不思議な、呪文《じゅもん》みたいな文句《もんく》を唱《とな》えはじめた。
「アハハハ、逆《さか》さ屏風とは驚いたろう。裏の坊主が屏風に上手に坊主の絵を描《か》いた。これを早口にいってみろ。俺が今いう。いいか最後の上手に坊主の絵を描いたッ……その描《か》いたッ、で一本いくぞッ!」
三
晩春《ばんしゅん》の夜、三|刻《こく》の静寂《せいじゃく》を破《やぶ》って、突《とつ》! こぶ寺うらに起る剣々相摩《けんけんそうま》のひびきだ。
神尾喬之助と茨右近は、知らずのお絃や園絵までが間違えるほど、似ていることは似ているのだが、違うところは違う。どこがどう違うかと言えば、第一、声の調子が少し違う。それから、刀法《とうほう》……虚心流と観化流。
虚心流は神尾喬之助。
観化流は茨右近。
つるぎの使い方で知れる。喬之助の虚心流は、ジワジワと徐々《じょじょ》に動き、右近の観化流は[#「観化流は」は底本では「観化法は」]、静中観物化《せいちゅうかんぶっか》、しずかなること林のごとき中から、やにわに激発《げきはつ》して鉄を断《た》ち、岩を砕《くだ》くのである。
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