と反対側の襖ぎわに並び立った六人である。銘《めい》めい柄《つか》を叩いて、一時に喚《わめ》いた。
「ナ、何奴《なにやつ》ッ!」
「神尾だ……ナ」と確かめて、「どこからはいった」
 感心したように訊《き》いたのは、家主の半九郎だ。バタバタバタ、廊下を転《ころ》げ去って行く侍女の跫音《あしおと》がしていた。
 源助町の丹ちゃんには、怖《こわ》いものがない。一歩前へでた。
「お前さんかえ、喬之助さんてエのア、大《てえ》した評判だぜ。何かえ、お城番士の首を十七、片ッ端から落して廻るんだってえじゃアねえか。止しな、よしな。もう三人首にしたんだから、悪いこたア言わねえ。ここらで負けて置きなってことよ。それがおめえの、身のためてエもんだぜ」
 縁日《えんにち》の植木でもひやかすようにしきりに、負けろまけろと言っている。
 すると、元番士神尾喬之助……ではない、紛《まぎ》らわしいが、これは、喬之助に化《ば》け澄《す》まして――ナニ、化けなくても、生地のまんまで喬之助ソックリなんだが、その上、斬込みの時の着付けまで寸分同じな、神田は帯屋小路、今評判の喧嘩渡世人、茨右近先生だ。ニッコリ笑って、呆気《あっ
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