は、叫んでいた。

   生《い》きている死人《しにん》

      一

 荒木陽一郎、松原源兵衛、それに当家のあるじ横地半九郎の三御書院番士、及び、芝源助町の無形一刀流、神保造酒の道場から助剣に来ている三人の暴れ者、遊佐剛七郎、春藤幾久馬、鏡丹波……一座六人、ハッと申し合わせたように酒杯《さかずき》をひかえて、十二の眼が、いっせいに隅の屏風をかえり見た。
 俗に瘤寺《こぶでら》といった。四谷自証院の裏手、横地半九郎方の奥ざしきだ。
 ガヤガヤしてたやつがぴったり止《と》まる。見る――なるほど、銀地《ぎんじ》に短冊を散らし貼《ば》りにした屏風が、死人の枕頭《ちんとう》を囲むように、逆さに置いてあるのだ。
 さかさ屏風……不吉! は言うまでもない。が、見つけた荒木陽一郎が、
「おッ! 誰か死ぬぞッ!」
 と叫んだのは、些《ち》と大袈裟《おおげさ》だったので、真っ先に笑い出したのは、通称《つうしょう》源助町《げんすけちょう》の丹ちゃんこと鏡丹波だ。おさむらいにしてそんな通称があろうという、市井無頼《しせいぶらい》の徒と何ら選ぶところのない丹ちゃんである。服装《なり》だって見上げたもので
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