《こうとみみよりぐさ》なる写本にある。これはナンセンス。
 だが、首は困る。
 首になりたくないのは、今も昔も同じことで、これは断然ナンセンスではない。真剣だ。自衛だ。命懸けだ。
 共同戦線《きょうどうせんせん》を張《は》る。
 荒木陽一郎、横地半九郎、松原源兵衛の三番士、日中は大したことはあるまいが、夜ひとりでいるのは剣呑《けんのん》だというので、一晩ずつ三人の家を順に提供し合って、三人寄れば文殊《もんじゅ》の智力《ちりょく》、鼎坐《ていざ》して夜を徹することにした。
 しかし、剛剣の名あった大迫玄蕃、浅香慶之助、猪股小膳の諸士を、ああも鮮《あざや》かに遣《や》ッつけた神尾である。三人では、心細い。援兵《えんぺい》を求めて大一座を作り、ボンヤリ坐ってもいられないから、酒にする。今夜は、四谷瘤寺裏《よつやこぶでらうら》の横地半九郎の屋敷が当番だ。主人の半九郎をはじめ、荒木陽一郎、松原源兵衛のふたり、被害妄念《ひがいもうねん》に怯《おび》やかされているのが、宵の口から集って、チビリ、チビリ、さかずきのやり取りをしている。
 早くから雨戸を下ろして、室内には燭台を連ね、昼よりも明るい。銘め
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