まくび》を想像して、苦《にが》い顔になった。たかが神尾一人ではないか、捜索隊《そうさくたい》は一たい何をしている! が、それにしても、あの優男《やさおとこ》の喬之助めが、かかる剣腕の所有者であるとは知らなかった。おのれッ! 一度わが目前《まえ》に現われてみよ……!
 昂奮した山城守が、こう心中に怒声を揚げた時、その心語《しんご》に応ずるかのように、眼前に人影が立った。ぎょッとして顔を上げると、気に入りの小姓《こしょう》一|弥《や》だ。いつの間にか、庭を横ぎって来ていたのだ。長者町の筆屋幸兵衛から、息子幸吉が使いに来て、何やらすぐお眼に掛けるようにと、つかい物を置いて行ったという。
「そんなにせんでも好《え》えに。気の毒じゃナ」山城守は、機嫌を直した。「して、幸吉はもう帰ったのだな。その品物はどこにある」
「御書院に持参致してござりまする」
「うム。すぐ見る」
 先に立って縁から上った山城守は、ずッと書院へ通って、足で座蒲団を直して坐った。その座前《まえ》に、こんもりした萌黄《もえぎ》の風呂敷包が、恭しく供えてあるのだ。
 左手を懐中《ふところ》に、グッと反《そ》り気味に右手を伸ばした山
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