。お茶いっぱい飲ましてくれないにきまってますからね」
「しッ! そんなことを大きな声でいっちゃア不可《いけ》ない。どうもお前をつれて歩くと、口が悪いんで冷《ひや》ひやするよ」
「へえ、夏向きのお供でござい」
「冗談じゃアないぜ。ひょっとして、脇坂様御家中の方のお耳にでも入ったら、どうするのだ。喩《たと》えにもいう。口はわざわいの因《もと》。ちと気をつけな」
「ヘイヘイ、物いえば口びる寒し冬の風」
「ちッ、言うことが一々間違ってる。それも言おうなら、物いえば口びる寒し秋の風、とナ」
「秋よりも冬のほうが寒いや」
「戯《ふざ》けなさんな。とにかく、ここで咽喉を潤《うるお》して行こう」
「うフッ、明日は雨だい。しわんぼうの筆幸が茶店をおごるなんて――後《あと》が怖いぞ」
「何をブツブツ言ってるんだ」
「イエナニ、こっちのことで……若旦那、この腰掛けへ陣取りましょう。ここなら、表を通る別嬪《べっぴん》が一|目瞭然《もくりょうぜん》――」
「厭なやつだな、子供のくせに」
「子供だ子供だと思っているうちに――」
「定公、うすッ気味の悪い声はしまっときナ」
「若旦那、お出初《でば》なを二つ頂きましょ
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