五

 おもてへは出たものの、行くところはない。
 格子の外へ凭《よ》り掛った茨右近と知らずのお絃、どうも、夫婦して締め出しを喰らったような恰好で――。
「お前さん、寒くァない?」
「うん、寒くはないが、べらぼうに眠《ねむ》いや」
「困ったねえ。どっか一晩|旅籠《はたご》でもとろうか」
「なアに……」
「なあにといったって、朝までここに、立ってもいられないしサ――」
「どうにかならあ」
「呑気《のんき》だねえ。今ごろ家内《なか》の二人は……」
「馬鹿ッ! しかし、心もちは察するなあ」
「ほんとにねえ」
 つくねんと立ちながら、ポソポソ話し合っていると、春寒《はるさむ》の夜はヒッソリ更けて、犬の遠吠《とおぼえ》、按摩《あんま》の笛、夜鳴《よな》きうどんに支那蕎麦《しなそば》のチャルメラ……ナニ、そんなのアないが、とにかく、深更である。寝しずまった帯屋小路の往来を、風に吹かれて白い紙屑が走って、番太《ばんた》の金棒が、向う横町をシャラン、シャランと――。
 寒さがしみる。しゃがんでいたお絃が、ゾッと肩をすぼめて、
「ねえお前さん、こうしていると、夜中に店立《たなた》てを喰らっ
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