お粗末なのが通り相場になっていると聞くが、その園絵、花も果《み》もあるほんとうの美人で、美人とは美しい人と書く。人は、形の美よりも心の美である。形の美は皮一枚、心の美は千|載《ざい》を貫《つらぬ》く。女権拡張《じょけんかくちょう》も友愛結婚も時世とやらの産物で大いに結構だが、園絵は、眉を描いたり頬を彩色《さいしき》したり、ビックリ箱から今飛び出たような面をして、チャールストンとか何とか称し、大根脚で床を蹴ったりなんか妙竹林《みょうちくりん》な芸当は知らなかっただけに古くさいかも知らないけれど、考えることがシッカリしている。
夫婦の情愛に新古《しんこ》はないはず。
短くして破られた二ツ枕の夢――夫恋《つまこ》う鹿の細ぼそと鳴くにも似て、園絵が、こう毎日くり返す想いを、また、胸のうちに燃やしながら、
「もう上りましょう」
交《かわ》る代《がわ》る足を上げて、鷺《さぎ》のような恰好、紅珊瑚《べにさんご》の爪さきを無心に拭いていると、
「オャ……!」
つ[#「つ」に傍点]と窓へ眼の行ったかの女の口から、絞るような、驚愕《おどろき》の声が……。
二
無理もない。
高い
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