しから出たことと想えば、もったいないやら、空恐《そらおそ》ろしいやらで……その後、わたくしの受けました厳しいお調べや折檻《せっかん》など、あなた様の艱難辛苦《かんなんしんく》に比べれば、物の数でもござりませぬ。ただこの上は、喬之助さま、どうぞお身御大切に、いずくになりと身を潜めて長らえていて下さりませ。お互に生きてさえおりますれば、必ずやまた一つ家に寝起きして、妻よ夫よと――その時はもう、窮屈《きゅうくつ》な侍稼業をスッパリ廃《よ》して、わたくしは、あなた様と御一緒に元の町人に帰り、面白おかしく呑気《のんき》に暮らして――その、再び手を取り合って泣く日を楽しみに、喬さま、園絵は、園絵も、どんな憂き辛さにも耐えて行くつもりでございますから、あなた様も、おこころをしっかりお持ちなされて、雨、風、暑さ、寒さ、さては人の眼、十手の光り……どうぞどうぞ、お気をつけ遊ばすように――お身のうえを守らせ給えと、園絵は、夜|詣《まい》り朝詣り、コノ築土八幡さまへひたすら祈願を凝らしておりまする……。
 町人の娘とは生れたが、今は縁あって神尾家の奥様だ。美人は多く玩弄用《がんろうよう》で、内容《なかみ》の
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