したような一語が流れ出た。
「首――」
七
「えッ! 首?」
「首じゃ、首じゃ、首じゃア……一番首、二番首、三番首と十七の首じゃア!」突如《とつじょ》起《た》ち上った神尾喬之助、晴ればれと哄笑《こうしょう》して、「わハハハハハ、首が転《ころ》がる。首がころがる。どこに? そこに、そこに、ソラ、そこに――」
あッと言う間に、すらり抜いた刀を、ブランと片手にぶら提《さ》げて、喬之助は、あらぬ方を見詰《みつ》めて立っている。その眼には纏《まとま》りがなく、着物の前が割れて、だらしなく下着《したぎ》が見えているのだ。言うことばも唐突《とうとつ》で、何だか辻褄《つじつま》が合わないよう――なので、大迫玄蕃は、いっそうゾッとして二、三歩、あとへ退った。
狂気《きょうき》? そうだ。この神尾喬之助は、発狂しているに相違ない。
それなら、尚《なお》のこと。
いやが上にも下に出て、とにかく、人が来るまでなだめて置くのが上分別《じょうふんべつ》と思ったから、大迫玄蕃も一生懸命だ。
「いやア、よく来た。よく来なすった。昔の友達《ともだち》を忘れずにナ、ありがたい」あんまりありがたくも
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