》の交換条件であった。
それは、喬之助の弟琴二郎をおびき出して、責めるなり欺《だま》すなり、そこらは長庵の手腕《うで》だが、とにかく何とかして、兄喬之助の潜伏《せんぷく》個所を吐き出させること。それだった。
七
あっさりお受けして、御前を退《さが》った長庵だったが、考えてみると、そんなことで真面目《まじめ》に働くことはない。根が荒っぽい大悪党の長庵である。機を見て、その琴二郎を引き出し、スッパリ殺してしまえば、それでいいのだ。責めているうちに、意気地《いくじ》のないやつで、落ちてしまいましたと言えば、山城守のほうは済むのである。第一、琴二郎なんかという青二才が生きているから、自分が、こんな厄介《やっかい》な用事を言いつかったりする。殺してしまえば、それきりなのだ。そうだ、琴二郎を殺したうえで、あれほどお城の番士たちに騒がれて、こんな事件を起したほどの、美人番付の横綱、喬之助の妻園絵、いや、伊豆屋のお園である。琴二郎さえ亡くしてしまえば、良人《おっと》の喬之助は、行方《ゆくえ》不明のお尋ね者で、うっかり出て来られないのだから、何とかして、一度でも園絵をわが有《もの》に
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