」
「何を二人で感心しておるのだ。口の利きようでみると、その半纏着《はんてんぎ》のやつは、武士のようだが――」
「いかにも、拙者は武士でござる。神尾喬之助と申す」
「ナ、何イ! カ、神尾喬之助? あの、あの、元日に首を斬《き》って逃げてる――御書院番の、神尾喬之助かッ!」
「如何《いか》にも左様。その神尾喬之助なら、何《なん》としたッ」
「うウム! よく来た。よく来た。よく、訪ねて下すった。そうか。貴殿が神尾喬之助殿か。いや、よくやりなすった。よく思い切りなすった。愉快《ゆかい》じゃ。いつもナ、このお絃とお噂申し上げておりました。何とか、あの神尾氏にお腕貸《てか》し申して――ははア、読《よ》めた! これから転《ころ》がることになっておる十七の首というのは、そりゃア何だナ、残りの番士十七名のことだナ。よし! やろう! 拙者もこれで、一生の喧嘩が決まって、こんなに安心いたしたことはない。お絃、喜べ。もう喧嘩の食いはずれはねえぞ」
「しッ! 何だい。野中《のなか》の一|軒家《けんや》じゃあるまいし、神尾神尾って大きな声で、黒門町さんなんか、はらはらしてるじゃないか」
「お侍さん同士は、解りが
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