時には、まるでお前さんが二人出て来たようで、ぎょっとするほどびっくりしたよ。ちょいと! 見れば見るほど、生きうつしだねえ。あれ、笑うところなんか、まあ厭《いや》だ。何だか気味《きみ》が悪いよ」
「おれも、見ていると、何だか妙な気もちになってくる。この俺がおれだか、そっちのおれが俺だか、どっちの俺がおれだか、それとも俺でねえのか――」
「ややっこしいことをお言いでないよ。たださえ、ややっこしくなって来ているんだから――」
「やい、てめえは何だ。まさか俺《おれ》が化《ば》けたんじゃアあるめえな」
「いえ、実あ、今日|伺《うかが》いましたのは、このお方のことなんで――この黒門町が、強《た》ってのお願いと申しますのは――コレ、神尾さま、あなた様からも、何とか御挨拶して下さいまし、わっしにばかり喋舌《しゃべ》らせねえで」
「いや、拙者《せっしゃ》も、あまりに似ておるので、口が利《き》けんほど驚愕《きょうがく》いたしおるところだ。その拙者が拙者か、この拙者が拙者か――ことによると、かの金山寺屋とやらは、本心から取り違えたのかも知れぬぞ」
「全く。この黒門町も、今はそうじゃアねえかと思っておりますよ
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