は、土性っ骨あ据ったか。」
「おそれいりました――ついては親分、今度は私から訊かして下せえまし。」
「おう、何なと訊きな。」
「最初《はな》どうして親分は私に疑いをかけましたね?」
「それはな、」と藤吉も今は砕けて、「お前が今朝帰って来た時、俺らといういわば客人がいるにもかかわらず、ろくすっぽ仁義も済まねえうちから、へえお土産って荷を出した。なあ浦和名物五家宝※[#「米+巨」、第3水準1−89−83]※[#「米+女」、第3水準1−89−81]、結構だがちっとべえぷんと来らあな、頭《てん》でそいじゃあめりはり[#「めりはり」に傍点]ってものが合わねえじゃねえか。まるで俺らを横眼で白眼《にら》んで、あっしゃあ、これこのとおり、正にまったく真実|真銘《しんみょう》、浦和から今来た[#「今来た」に傍点]もんでござんすと言わねえばっかり、へん、背後《うしろ》暗えな、とあすこで俺らあ感ずったんだ、正直の話がよ。」
「なるほど、一言もございません。」
「あとから小屋の籠城っぷり、はっははは、種《ねた》ああれで揃ったというものさ。」
「お引立てを願います。」
往生際の綺麗さを賞めてやってもよかった。
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